開発をスムーズに行うための、たった 2 つの AWS/IAM プラクティス このエントリをはてなブックマークに登録

2016年02月29日

もりもりもりもり / , ,

はじめに

AWS を使った開発をしていて、こんな困ったことがありました。

  • ○○を操作する権限が欲しいのに、IAM を操作できる担当者が捕まらなくて開発が進められない
  • 特定のプロジェクトに関するリソースだけアクセス許可したいけど、○○にはリソースによる制限ができない
  • マネジメントコンソールを使えるようにしようと思うと、あまり権限を絞れない

これらによって、開発スピードが上がらないというのが大きな問題になりました。

さて、原因はなんでしょうか。

  • ○○を操作する権限が欲しいのに、IAM を操作できる担当者が捕まらなくて開発が進められない
    開発者に権限が与えられていないから、権限を持った人に頼らなければならない
  • 特定のプロジェクトに関するリソースだけアクセス許可したいけど、○○にはリソースによる制限ができない
    ⇒ 開発者にアクセスさせられないリソースがあるから、開発者の権限を絞らなければならない
  • マネジメントコンソールを使えるようにしようと思うと、あまり権限を絞れない
    ⇒ 開発者にアクセスさせられないリソースがあるから、開発者の権限を絞らなければならない

後ろの二つは同じ原因ですね。
つまり、開発者の権限を絞らなければならない環境だから、開発者に権限が与えられていないわけです。

ならば開発者の権限を絞らなくてもいい環境なら、開発者に権限を与えられるということで、次のプロジェクトでは 2 つの対策を講じてみました。

基本的には公式のベストプラクティスの通りなので、まずはこちらを読みましょう。

http://docs.aws.amazon.com/ja_jp/IAM/latest/UserGuide/best-practices.html

2 つの対策

AWS アカウントをサンドボックスにする

つまり、プロジェクト毎に AWS アカウント自体を分けてしまいます
これによって、その AWS アカウントの中ではリソースによる制限をかける必要がなくなるため、開発者の権限を絞らなくてもいい環境になります。

AWS アカウントを分けることによるデメリットは

  • Elastic IP の上限など、リソースの制限解除は AWS アカウント毎に行わなければならない
  • そのままだと請求が分かれてしまうので、必要であれば一括請求の設定をしなければならない

等が考えられますが、開発スピードを落とさないためには十分受け入れられるものだと思います。

この方針は、新規に開発を始める際にはいいのですが、既存の AWS アカウントに複数のプロジェクトを運用していて、そこから別の AWS アカウントに切り出すとなると、かなり大変だなぁというのが悩みどころです。
(DocBase はまさにこの悩みを抱えているところです。。。)

開発者はみんな Administrator

AWS アカウントをサンドボックスにしたことで、開発者に権限を与えられるようになったので、Administrator 権限を与えてしまいます。
公式の「最小限の特権を認める」というプラクティスを真っ向から否定してしまうようですが、開発をスムーズに行うためにはとても効果的です。
これによって、開発者は特権ユーザとなるため、「特権ユーザーに対して、MFA を有効化する」という公式のプラクティスも、開発者全員に適用することになります。

さらにもう 1 つ、以下の制限を課しています。

開発者用の IAM ユーザにはアクセスキーを発行しない

開発者には Administrator 権限を付与するので、その IAM ユーザでアクセスキーを発行すると、そのキーで全ての操作ができてしまいます。
万が一これが漏洩してしまった場合に影響が大きすぎるので、開発者用の IAM ユーザにはアクセスキーを発行しないようにします。
アクセスキーを使って操作する必要がある場合、別途必要な権限だけを与えた IAM ユーザを作成して、そのユーザに対してアクセスキーを発行します。

あとがき

もちろん、これらはどこでも適用できるわけではありません。
特に本番環境は権限を絞らなくていい環境にするのは難しいでしょうし、大きなプロジェクトでは、機能毎に開発チームは分けたいけど、AWS アカウントは分けられないということもありそうです。

ですが、開発者に権限を付与することで、自由に試行錯誤できるようになり、開発をスムーズに行うことが出来ます。
最低でも開発環境では Administrator 権限を付与して、スムーズな開発ができるようにしたいですね。

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